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森の花ごよみ
森の四季 in 2013
2013.05.24

雪間開く
 例年になく真冬日が続いたこの冬、4月を迎えてようやく立木の根元に雪間が開き、日ごとに広がり、周りの木々の雪間とつながる。平年より10日ほど遅れて顔を出した地面に、待っていたエゾエンゴサク、キバナノアマナ、キクザキイチゲ、ヒトリシズカ、ニリンソウ、エンレイソウなどの花が開いていました。いずれも例年になく小振りで、例年になく長い雪下の生活に耐えて春を迎えた健気な早春花たちです。
「写真左」2月17日撮影 日気温(℃)最低ー9.5 最高ー2.0
「写真右」4月 1日撮影 日気温(℃)最低ー1.5 最高 6,6
*気温は札幌気象台の値(以下同じ)
森の目覚め

 5月に入っても低温の日々、月の半ばには一転し20℃を越える乱高下ぶり。斜面の木々は、そんな気まぐれの陽光をうけても季節を感知し、月の後半には枝先の芽を一斉に膨らませ、今年も葉を開きました。山麓斜面ではハルニレ、カツラ、ミズナラ、イタヤカエデ、アカイタヤ、ハウチワカエデ、ハリギリ、オニグルミ、・・・などの落葉広葉樹が、早くも初夏の表情をみせています。それぞれの木の個性的な樹形、葉形、葉色が、山麓斜面を多彩な色どりに染め、藻岩の森は、日ごとに緑を濃くしていきます。
 札幌市では月末の27日に夏日(25℃)が記録され、酷暑の夏が予感され、木達の熱中症(?)を心配する花ごよみです。とりこし苦労に終われば幸いですが!!
「写真」5月24日撮影 日気温(℃);最低 7.5 最高14.2
緑のエアコン 真夏の林冠

季節を先取りしたような夏日の7月の上旬、逃れるように森に入るとひんやりとしたそよ風が心地よい。ほのかな香りも漂い、室内のエアコンの冷気にはない優しさが感じられます。さながら緑のドームのような林冠層が、夏の強い陽差しを優しい木漏れ日に変えています。また、葉はその表面から水分を蒸発させ(蒸散作用)、人体の発汗作用と似た働きをして樹体の温度を調整し、熱い夏の陽差しを凌いでいるとのこと。つまり森の中では葉のつくる層が緑のエアコンとして働き、穏やかな空間を創りだしているというわけです。
 また、木々の葉は、陽差しを受けて光合成を営み森林生態系を形成し持続する根源(生産者)です。その葉を改めてみると樹種ごとに様々な形をし、また枝へのつき方(葉序)もそれぞれ個性的であるなど改めてその多様性を思い知らされた夏の藻岩の森での一日でした。
「写真」7月8日撮影 日気温(℃);最低19.8 最高33.1
木枯らしを待つ藻岩の森

 記録的な高温、相次ぐ台風の来襲・・・、気象災害のニュースで胸の痛む思いの2013年でした。そんな中で藻岩山は、平穏のうちに今年も紅葉の季節を迎えました。各地で今年は紅葉前線の南下が例年より遅いとの話を耳にするが、当の藻岩山では過去の2年間の花ごよみと比べると、今秋は木々の色づきがより早目に進み、多彩な秋衣装をまといました。10月半ばからの低温の日々がもたらしたのでしょうか。写真は10月27日の東斜面の様子ですが、厳しい冬の到来を予告するかのように、樹冠をゆらして渡る北風に落葉が舞っていました。緑の役目を果たし終えて、木枯らしを待つ晩秋の藻岩の森に、自然の営みを思い知らされ、春の芽吹きの活力とは対照的に、一抹の哀愁が胸中をよぎった花ごよみの晩秋の一日でした。
 写 真; 東斜面の山麓部 撮影日 2013年10月27日
 日気温(℃);最高10.4 最低6.8 
 


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